こんにちは。私、113番です。

  • 2016年02月16日

 こんにちは。SHOです。
 
 2015年の年末、国際純正・応用化学連合(IUPAC)は、日本の理化学研究所において発見された113番元素が新元素であることを認定しました。

 元素といえば、学生時代の理科の時間に「水平リーべ僕の船・・・」で1番元素の水素(H)から20番元素のカルシウム(Ca)まで覚えたことが懐かしいですね。今回のIUPACによる113番元素の認定によって、元素は、原子番号1の水素から原子番号114のフレロビウム(Fl)までと原子番号116のリバモリウム(Lv)の計115種類となりました。これにより、これからは元素の周期表(写真1)に115個の元素が記されることとなります。

写真1

 今回新元素として認定された113番元素ですが、最初に存在を確認したのは理化学研究所ではなく、ロシアとアメリカとの合同研究チームでした。しかし、理化学研究所は、極めて短時間(約2ミリ秒)で崩壊する113番元素が、すでに知られている元素まで崩壊することを実験で複数回確認しました。IUPACは、この実験結果から理化学研究所が113番元素を確実に生成したと認定しました。研究者の方々の努力がこのような結果に結びつき、とてもうれしく思います。

 ところで、新元素が認定されると、当該元素を発見したと認定された機関にその元素の命名権が与えられます。これまで、人工的に生成された元素は、地名由来のアメリシウム(Am)や、人名由来のアインスタニウム(Em)、ノーベリウム(No)などの名前がつけられてきました。元素の命名権が欧米以外の国に与えられたことは今回が初めてのことであり、その元素の名称も気になるところです。理化学研究所では、「ジャポニウム」が候補に挙がっているそうです。ちなみに、もし113番元素の名前が「ジャポニウム」となると、元素の周期表に初めて「J」の文字が入るとか・・・。

 私たちの仕事の観点からすると、新元素の発見は、「発明」の要件である「自然法則を利用した技術的思想の創作」には該当しないため、特許にはなりません(特許審査基準第II部特許要件第1章産業上利用することができる発明)。しかし、私は、このような基礎科学の新たな知見にはいつかは産業で利用可能な価値が見出されると思っています、そのようなときが来ることを楽しみにしつつ、これからも基礎科学のニュースに注目していきたいと思います。

理化学研究所「113番元素特設ページ」http://www.nishina.riken.jp/113/index.html

元素の立体周期表「エレメンタッチ」http://www.ss.scphys.kyoto-u.ac.jp/elementouch/illustration/index.html

写真1の立体の周期表について説明しています。昔懐かしいOHPシートで作りました。展開図も別のページに載っています。この周期表では、113番元素は仮称として「ジャポニウム(J)」と記されています。

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