職務発明はだれのもの?

  • 2013年06月27日

 初めまして。新入所員のIKです。
 特許に関するニュースを探していたところ、先日6月7日に閣議決定された「知的財産政策に関する基本方針」にて、企業の研究者らが発明した「職務発明」について、特許権の帰属を従業員側から企業に移すことを検討する方針が盛り込まれたとの記事がありました。
→参考記事「SankeiBiz」http://www.sankeibiz.jp/macro/news/130608/mca1306080745007-n1.htm
 記事の続きを簡単にまとめると、以下の通りです。
 現行法では、特許権は発明者である従業員に帰属しており、従業員が企業に譲渡した場合は「相当の対価」を受け取ることができます。そのため、職務発明をめぐって、従業員が高額の対価を求めて企業を訴え、企業が支払うケースが相次いでいました。今回の基本方針では、特許権の帰属を企業に移すことにより、企業が安心して研究・開発投資をできる環境をつくり、研究・開発拠点の海外移転を防ぐ考えだそうです。

 記事には「海外に優秀な研究者が流出する恐れがある」とコメントされていましたが、それでは実際、海外の特許法では職務発明の帰属をどのように定めているのでしょうか?簡単にまとめると以下のA~Cに分類されます。

A.特許法に職務発明が使用者に属するという規定がある国
 ブラジル、シンガポール、オーストリア、スペイン、オランダ、イギリス、フランス、イタリア、台湾、中国、ロシア、ウクライナ、ブルガリア等

B.職務発明は原始的に発明者に帰属し、規則・契約の規定で使用者に移転する国
 日本、韓国、ドイツ等

C.職務発明に係る規定がない国(契約主義)
 アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、スイス等

 こうしてみると、現在、日本は少数派のようです。また、調べてみると、職務発明となる発明の範囲、職務発明に対する報奨金や承継等についての規定は、各国で様々に異なります。発明者が流出するにしてもどの国に行けばいいのか迷ってしまいそうな感じです(汗)。

 今回の方針により使用者と従業者との衡平がより図られ、国内でより多くの発明が成されることを願います。

参考URL:
日本知的財産協会「成長を加速するイノベーションのための職務発明制度のあるべき姿」
http://www.jipa.or.jp/jyohou_hasin/teigen_iken/13/shokumu_hatsumei_0522a.pdf
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発明と社会貢献

  • 2013年06月21日

 たまにはパソコンから離れ、山野に出てキャンプをするNKです。最近発売された商品で「いいな」と思ったものを今回は、紹介します。

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 スマートフォン程度のサイズに畳んだ状態では何だかわかりませんが、ソーラーパネルとLEDライトを内蔵しており、広げて空気を入れればLEDランタンになるLuminAID(ルミンエイド)という商品です。光がうまく拡散する仕組みで、吊り下げて使えばテント内を朝まで十分照らせます。

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 充電式で電池が不要なことから、震災のような非常時の使用にも向いています。多少濡れても大丈夫で、水面に浮かせることもでき、被災した際に自分の存在を知らせることにも役立ちそうですので、懐中電灯と共に、我が家の防災セットに加えたいと思っています。

 この商品、元々は非常時の灯り確保の重要性から、コロンビア大学の学生建築デザイナーにより開発されたものです。発明者は、東日本大震災を経験したそうです。確かに、エネルギー供給の途絶えた被災時の夜をどう過ごすのか考えてみると、水や食料だけでなく、灯りも必要なことは明白です。


                                                          

 この商品が素晴らしいのは、ひとつ買うと、もうひとつがこういった物資を必要とする国や地域に送られるというシステムを構築したことです。私が、この商品を知ったのは1年半ほど前、まだ発売前でしたが、たいへん強く印象に残っていました。発明が社会貢献につながることがよくありますが、さらにセールス面でひと工夫加えることで、必要なものが必要とされる場所に届くようにするアイデアは、とてもいいですね。

LuminAID : http://www.luminaidlab.com/
国内販売元 : http://www.arktrading.jp/luminaidlab/
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夢の印刷機 ~3Dプリンター~

  • 2013年06月13日

こんにちは、スマイルです(*^ ^*)。

最近、テレビや新聞等で「3Dプリンター」という言葉を目にする機会が増えてきましたね。
3Dプリンターとは、立体的にモノをつくる「プリンター」です。「プリンター」と言うとどうしても紙の上にインクを吹き付けて二次元的に印刷するイメージを持ってしまいますが、3Dプリンターは、モノを三次元に上塗りしていって積層的にモノをつくるプリンターです。

3Dプリンターの歴史は意外と古く、1987年にチャック・ハル(Chuck Hull)というアメリカ人技術者が3Dステレオリソグラフィー特許を取得したことが始まりと言われています。
3Dプリンターはデータさえあれば物を作ることができますし、大きさなどを自由に変えることやオンリーワン、自分だけの特別な物を作ることができるのがうれしいですね。
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現在、製造業を中心に建築・医療・教育・先端研究など幅広い分野で普及しています。用途は業界によって様々です。素材は柔らかい物から固い素材等100種類ほどありますが、今後もっと素材も増え、幅広く活躍すると思います。
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※画像はウィッキペディアより(写真上 作者ALoopingIcon 氏、写真下 作者Oskay氏)
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街で見かけた特許証

  • 2013年06月04日

こんにちは、スイマーです。

いつも利用している美容院での出来事。
髪をカットしてもらいながらなんとなく周りを見ていたら、特許証のコピーがパウチされ壁に貼ってあるのを見つけました。
(おお、よく見知ったモノが…)と、眺めていると担当の美容師さんが「今当店で使っている髪専用美容液は、特許を取ったものなんですよ。」「特許を取るとこういう証書がもらえるんですね、私、初めて見ました。」とニコニコしながら話しかけてきました。
この美容師さんは私が特許事務所に勤めていることを知っていますので、お客さまとの会話の延長でこう話されたのかもしれませんが、考えてみれば日常生活で特許証を見る機会は知財関連の仕事をしていない限りほぼありませんね。

「特許を取得」「特許申請中」「特許番号○○○番」などの言葉はよく耳にしますが、実際に証書を目にすることは日常生活ではほとんどありません。
特許事務所に勤めていると当たり前のように毎日の仕事で目にする特許証です。
しかしこれはお客様が得た権利を証明する大切な証書。大事な財産です。
美容師さんのニコニコ話す顔を思い出し、ともすれば流れ作業になってしまいがちな日々の中、改めて一つひとつの仕事を丁寧にそして迅速に対応していかなければと思いました。
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