仕事の話 ~異国文化が言語に与える影響について~

  • 2012年11月14日

こんにちは。ジンです。

 私は、特許事務所の外内の担当として、外国から日本に申請される特許出願、実用新案出願等に関係した処理をしています。案件それぞれが新しい分野なので、楽しいところもありますが、悩みもあります。悩みというのは、「中国人として中国語がだんだん分かり難くなってきている」ということです。
 「あれ!」と、みなさんびっくりするかもしれませんが、その理由について説明します。

 理由1:他国の言葉をそのまま使うので、文章の意味が分かり難くなります。

 例えば、「一種流體致溫及泵動二次流體作回流之建物」。
 これは、明細書中の言葉ですが、文章の中で「致温」、「建物」等の言葉があります。「建物」は、明らかな日本語で、中国語(または台湾語)の辞書にはない言葉です。建物を意味する中国語は「建築物」です。また、「致冷」、「致热」等の言葉はありますが、「致溫」という言葉はありません。

 理由2:他国の言葉をそのまま使うなら、文章の意味を何となく推測できますが、異国の文法まで混ざるので、文章の意味がさらに分かり難くなります。

 例えば、「自动挡开车犯困真要命」。
 これは、最近、友達のブログに書かれた文章ですが、訳してみると、「オートマチック(が?)車を運転するとき眠くなると本当に危ない」となります。おそらく、オートマチックの車を運転するとき眠くなると本当に危ないという意味ですが、目的語である「車」を修飾する「オートマチック」が述語の前に来たので、「オートマチック」が主語じゃないかという違和感が生じます。中国語では、「主語-述語-目的語」という順が原則なので、正しいのは「开自动挡的车犯困真要命」でしょう。

 理由3:文法の乱れよりも恐ろしいのは、論理の乱れです。

 例えば、「對角線作為最大圓形面積之直徑長」。
 これは、特許請求の範囲中の言葉ですが、訳してみると、「対角線を最大円形面積の直径の長さとする」となります。「対角線」を「直径の長さ」とすることは不自然な表現で、「対角線の長さを直径の長さとする」が正しいです。また、「圓形面積之直徑(円形面積の直径)」という表現は不自然な表現であり、「円形の直径」のほうが正しいでしょう。

 文化が融合する現象は、歴史を通じて生じています。皆さんがご存じのとおり、日本語の中には昔からたくさんの漢字が使われています。逆に、近代に入ってから、中国語の中にはたくさんの日本語が使われています。例えば、経済、科学、商業、幹部、健康、社会主義、資本主義・・・等の言葉は中国で生み出された言葉ではなく、日本語が語源です。これらの日本語外来語により、西洋文化が中国で広まりました。

 異国文化との融合は、自国文化の発展を促進することができますが、自国文化の根幹をいじらないことが原則です。自国文化と異国文化を区別せずに乱用すると、自国文化の乱れが生じ、その乱れが広がると、文化の災難になります。

このように、 海外からの仕事は、悩みも大きいですが、たいへん勉強になり、やりがいもあります。


参考:
現代中国語の中の日本語外来語
http://www.kotono8.com/wiki/%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%AA%9E%E3%81%AE%E4%B8%AD%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E3%80%8C%E5%A4%96%E6%9D%A5%E8%AA%9E%E3%80%8D%E5%95%8F%E9%A1%8C

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